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 一月は大上段に「日本人は変わったのだろうか」等と申してしまいましたが、これも老齢と新年の柄にもない心の高ぶりのせい、と広いお心でお許しいただければありがたく思います。


 今年はこのコーナーを2度更新しただけで、時間ばかりが矢のように流れ、気がつけばうだるような毎日。笑い事ではなく、私の体内時計は相当スピードを上げて終点に向かって動いているのを実感しています。


 世の中も、世界も止まるところを知らず、敗戦後、日本が何十年にも渡って圧倒的に多額の援助でその経済発展を支援してきた(つもりになっていた)東南アジア全域が今や中国の圧倒的な存在感の前に戸惑い、いらだち、そしてひれ伏そうとしているようにさえ感じられる今日この頃です。


「オレは何十年も前からこうなることを予想していたよ」なんて斜に構えて見る気はありませんが、なにしろ20年前、東南アジア諸国連合(ASEAN)に日本が記者の研修計画を提供していた頃、ASEANジャーナリスト連盟の総会や理事会には必ず日本は招待されて参加していました。


 ある年から中国のジャーナリスト協会の代表も招待されるようになり、その年はマレーシアの首都クアラルンプールでの総会に域外から日本と中国が招待されました。たまたま中国から参加した協会の国際課長(英語担当)は私が日中の記者交流計画再会の非公式交渉のために北京に派遣された時に知り合った人でした。


 会議が終わった後、恒例で、マレーシア国内で2泊3日ぐらいの旅行に招待されましたが、その途中で中国の記者協会の課長とは時折2人だけで話し合うことがありました。そんなとき、その人は言ったものです。「確かに日本は進んでいる。だが、進みすぎていて、正直なところわが国には参考になりにくい点もある。その点、マレーシアはむしろ中国にとってはちょうど良いお手本ということも言える」


 当時のASEANと中国の関係が判るでしょう。でも、今や中国はアセアンの上に君臨しているのです。高額な資金援助、金融支援、技術支援までちらつかせて中国に対する領土問題などについての不満を黙らせることが現実となっています。


 中国の強みは今や日本の5倍ぐらいになった巨額の軍事予算からもうかがえますが、なによりも、ASEAN諸国の一つ一つを見ると、その多くで経済の実権を握っているのは中国系市民だといえば、問題の複雑さがうかがえるでしょう。インドネシア、マレーシア、タイ、フィリッピン、ベトナム等です。


 それに対して日本の強みは何だったのでしょうか。「あれほど支援してやったじゃあないか」と言ってみたところで、その支援した相手は実は中国系市民で、強い絆で中国と結ばれていることに対抗する手立て、例えば中国が百年以上前に大陸から流失して、それぞれの地域で経済的な力を蓄えてきた人を本国と結びつけるネットワークを構築しているのに対抗するように、例えば、経済協力のみではなく、せっかく留学生を多数招いてもいたのですから、信頼し合える人と人を結びつけた強力なネットワークを作って行くなどの地道な努力を60年代から何かやってきたのでしょうか。残念ながら日本は大切な「経済力」という資源を官庁と企業の人たちの「仕事」としてのみ捕らえ、「人脈のネットワーク」を地域全体に構築しようとする発想もなく、そのための努力をおこたったのではないでしょうか。


 もっとも当時の中国の経済力は日本に比べたら微々たるものではありましたが、当時から人的そして経済、というよりは金融面での強いネットワークは現地に足を踏み入れれば痛いほど感じられたはずです。1960年代後半、一人でインドネシアのジャワ島の中を旅したとき、人々に親切にされつつも、都会から田舎まで、どこに行っても中国系の人たちの「力」とネットワークの強さと広がりを痛感せざるを得ませんでした。


 今、日本はその中国とASEANを巡って対峙しているのです。「やっかいなこっちゃ」では、これから日本は再び「国」として前進し、アジアという、世界でも最も発展しつつある地域に対しての貢献を強化し、中国とも対等に渡り合いながら、平和的に発展してゆけるでしょうか。


 先進国の中でも貧富の差が大きくなりつつある日本を見るにつけ、いとしい祖国の将来、そこに住むこれからの世代の若者たち、そして孫たちに「人間として間違ってもサルに近い、そこに見えるものだけを信じ、考えるような動物にはならないでほしい。自分たちの命が大きな宇宙の中にあって、そこに見えない人たちの魂や願いを受け継いで進んで行くことを、しっかり考えてほしい」と話しかけたいのです。


 やはり、日本人には大きな可能性がある、と思いつつも、幾百年、幾千年にわたって積み上げられてきた先人のたゆまぬ努力とその成果をしっかりと受け止め、さらには次の世代にバトンをタッチできるように、改めて命の大きな流れを考えてほしいと願っております。お盆が終わったら、急に暑くなったり、「地球もなにやら私たちが知らない変動期に入ったのかなあ」なんて考えてしまいます。皆さんはどうですか。どうか、お体を大切に、お元気で人生の一歩一歩をかみしめて下さるよう願っております。

2017年8月

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