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  一月は大上段に「日本人は変わったのだろうか」等と申してしまいましたが、これも老齢と新年の柄にもない心の高ぶりのせい、と広いお心でお許しいただければありがたく思います。


 それにつけても、米国ではトランプ氏の大統領令多発は大混乱を生み、連邦裁判所は2度にわたって差し止め命令を出しました。議会では大統領を補佐すべき閣僚や補佐官の就任が否決されたり、就任直後の補佐官が辞任したり、FBIが公式にトランプ陣営とロシアとの関係について捜査中と公表するなど、「一体どうしたの」と言いたくなる有様です。


 安倍総理の訪米はまずは無難に乗り切った形となりましたが、英国ではトランプ氏を国賓として迎える事へ強い反対の動きが起こるなど、まさに前途多難です。こうした中、安倍総理はドイツなど欧州4カ国を訪問して、なんとか「自由貿易体制」の堅持などをトランプさんに壊されないよう働きかけているようですが、肝心のお膝元では「森友学園問題」で何とも妙な具合ですね。


 そして、目をアジアに転じると、中国は南西アジアなどの領土を、軍事力を背景に拡張し、空母機動部隊を編成して米国に対抗する姿勢を強めています。加えて、北朝鮮の金正恩委員長によるミサイル4発同時発射強行、マレーシアのクアラルンプール国際空港での実の兄、金正男氏暗殺と、まさに「四海波高し」ではないでしょうか。


 そんな人間社会の混迷を尻目に、いつの間にか春はしのびより、櫻も咲こうとは、まさに、「無常」を感じる今日この頃ではないでしょうか。


 お寺の世界も、超高齢化社会の進行で、「お坊さんもアタフタするばかりか」と、やや自嘲的になっております。


 この国では、もはや片親世帯が「あたりまえ」になりつつあるようで、それによる事もあるのでしょうが、生活困窮化も進んでいるようです。困窮化率が先進国で構成されているOECDの加盟36か国中下から8番めだと聞けば、「いつの間に」と、進学もママならずに苦しんでいる多くの若者を知って、「これが先進国か」と、大人の一人として、己の無力を恥じ入るばかりです。


 1月にはいきなり「日本は戦前も戦後も変わっていないのではないか」と、お堅い話題を書いてしまいましたが、最近は戦争が始まる20年以上前から生きてこられた方々をお送りする葬儀が続き、複雑な思いをかみしめております。


 この間、天皇・皇后両陛下が初めてベトナムを訪問されました。かつて、71年前の敗戦のおり、ベトミン(独立戦線)に拘束され、乞われて農夫たち兵士の教官となって武器の使用を教え、自らも先頭に立ってフランスからの独立戦争に加わり、勝利の後、共産党の影響が強くなった政権の命令で、ベトナムの妻や子供たちを置いて日本に帰るよう命令された人たちが600人以上いた、と言われています。両陛下はこの元日本兵の家族に面会され、90歳過ぎの夫人を皇后陛下が抱きしめる姿がありました。「平和が大事ですね」と何回も天皇陛下はおっしゃった、と報道されています。


 長い苦難の道を歩いてきた人々が、両陛下にお目にかかって「全ての苦しみが消えました」と語っているのを聞いて、率直に「ありがたい」と思いました。


 ほどなく延台寺の桜も咲きますが、みなさまに良いことがありますよう、心から祈っております。

2017年3月