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 櫻が咲き、「人生とはかくもはかないものか」なんて気取っている間もなく、あっという間に散ってしまい、際限なく地面を埋める花びらを大きなビニールの袋に詰める毎日となりました。それが、引き続いて花弁の掃除に追われているうちに、あの熊本地震発生のニュースを夜の9時過ぎに知り、テレビの臨時番組にかじりつくことになりました。


 あの、千年に一度という東日本大震災から5年がたったばかりだというのに、「天災は忘れた頃にやってくる、というのはウソだったのか!」と、思わず叫びたくなりました。「一体、この国はどうなっているんだ」と暗澹(あんたん)たる思いにも駆られました。


 始末が悪いことに、本震と思ったのが前触れで、人々が「もう大丈夫だろう」と思った矢先に本震が多くの家屋を倒壊させ、人命を奪ったのです。さらに余震が際限なく続き、気がつけば5月。そして6月、2か月たっても、まだ震度4クラスの余震が続き、人々の心を不安に陥れています。


 「何か少しでも役に立てれば」との思いに駆られ、「今年こそ、できれば『住職の心情』を毎月書きたいなあ」と正月に酒をなめなめ思った事は忘れはて、急遽(きゅうきょ)、延台寺恒例の5月の「とらご石祭り」は熊本地震支援もうたって実施しました。



 1月と3月は「人の死」について書きましたが、それにつけても日本も世界もいろいろと忙しい限りですね。6月末、3年ぶりの参議院議員選挙でざわつく日本を衝撃のニュースが襲いました。これより前、トルコのイスタンブールや中東諸国で大規模なテロが発生して多くの人々が犠牲となったニュースは伝わっていたのですが、今度は日本人が巻き込まれるテロが発生して大ニュースとなりました。


 イスラム教にとって大変重要な断食月明けにあわせて、武装集団がバングラデシュの首都ダッカで外国企業や大使館が集まる地区のレストランを襲ったのです。犯人は一人一人の人質にコーランの一節を復唱させ、言えないと殺していったのだそうです。20数人が犠牲となり、その中にはバングラデシュ発展のために働いていた7人の日本人も含まれていました。



 宗教に関係するものとして、何ともおぞましく、痛ましく思うと同時に、「純粋さ」を求めるという、いわば宗教が本来持っている性格が、一歩間違えると残虐な事件を起こすという現実を、改めて私自身に問い直さずにはおられませんでした。つらい事件でした。



 伊勢志摩を舞台として世界7カ国の首脳がつどったサミットは大ニュースのはずでしたが、会議が無事に終わると、国内の関心は、むしろ敗戦以来71年、初めて実現した現職の米国大統領の被爆地、広島訪問というニュースに集まりました。米国内では未だに「原爆投下により戦争は早く終わった」「多くの米兵の命が救われた」と考える人が多く、オバマ大統領にとっては相当に覚悟を固めての訪問だったようです。個人的に今も交流する被爆者の方々の思いを考え続け、こみ上げるものを押さえかねた次第です。


 さて、安倍首相は消費税の10%への利率改定の先送りを発表し、一部の人たちからは「アベノミックスの失敗隠し」と批判されましたが、財務省と1部マスコミ以外からはむしろ肯定的に受け入れられたようです。そして、皮肉なことに「英国の国民投票、EU離脱!」というとんでもない大ニュースが消費税改定延期の判断を妥当なものとしたようです。



 この間、米国の大統領選挙は民主党のヒラリーさんと共和党のトランプさんという、正直なところあんまり日本にとって「ありがたくない」2人によって戦われることとなり、そして、日本では東京都知事の舛添さんの政治資金問題、というか、公私混同の極みが週刊誌報道から明らかになり、本人は「あと少しやらせてくれ」とギリギリまで粘った末に「やめます」。いささかうんざりです。



 元々、舛添さんという方は勉強が非常に良くできて、30才で東大の助教授という秀才ですが、あまりにもみっともない有様に残念でなりません。ニューヨーク・タイムズが大きな記事を掲載し、「セコイ」という日本語を紹介するありさま。人間ですから誰しもお金は欲しいでしょうが、あまりにも低レベルのはなしばかりで、「もうちょっとましな人はおらんのかね」とつぶやく毎日です。


 この国のこれからを考える時、「勉強が良くできる人」はたくさんいてほしいですが、そういう人たちはもとより、人々が、本気でこの国に住む人たちが健康で幸せな人生が送れるような「人間ならでは」の社会を作りあげ、大いに本当の豊かさを実感できるような国を目指してゆけるようになってほしいものだと、願わずにはおられません。


 しかしながら、よく考えると、「人は他人に幸せにしてもらうのではなく、自分で幸せになるベキだ」という人もいます。ではどうやったら幸せになれるのでしょう、いや、幸せってどんなことなんでしょう。気がつけば、梅雨後半、もう7月です。みなさま、ご大切に、大磯のお盆は8月ですが、亡き方々ともコミュニケ―ションされてはいかがでしょうか。

2016年7月