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 暑い毎日、皆さま暑中お見舞い申し上げます。どうか、くれぐれも熱中症などにかかりませんように、暑さを乗り切って、涼しい風が吹く季節を迎え、また、ご自分の、そして様々な「生命」をいとおしく実感してくださるよう、お祈り申し上げます。


 夏といえば、お寺はお盆の季節を控え、一年中でも一番忙しい月です。それも、数年前からさらに忙しくなったと感じています。それというのも、ウチでかっていた猫が15年以上生きて亡くなったのですが、「一匹では寂しかろう」と思い立ったことが原因していると思っています。


 というのは、ちょうどその頃工事が完成しつつあった「曽我堂」という、江戸時代にはあの広重も筆にした、「虎御石(とらごいし)」という御霊石(ごれいせき)をお祀りする小さなお堂の基壇部分の一部に、小さな部屋を作り、そこに動物たちの遺骨と、大好きな、元日本フィルハーモニーのチェリストで画家の雨田光弘さんの動物の絵を飾る空間を作ってしまったのです。


 最初の頃はほとんど来る人もなく、「結局はウチの猫はひとりぼっちか」と思っていたのですが、ぽつりぽつりと、思い出したように依頼の人たちが増え、口コミもあって、今ではそこそこの数のペットたちの霊が永久の眠りについているのです。

  「せめて年一回ぐらいは慰霊法要をやってあげよう」と思い立った頃はご夫婦一組と後はウチの家族数人だけが出席する法要でしたが、今では何十人もの人たちが出席します。小さい塔婆をあげる人たちも多く、それなりに準備が必要です。


 今や人間の命も大切に思われない時代が来てしまったと、悲しい思いをする今日この頃ですが、どうしたことか、ペットたちが言葉こそしゃべれないものの、大切な家族となっていることを学びました。ウチはたまたま動物好きの集まりと思ってきましたが、どっこい、ウチ以上の動物好きなご家族が結構いらっしゃり、うれしいやら忙しやら。


 そして、日本中の人たちが、なきご両親やご先祖を思う「盂蘭盆会(うらぼんえ)」であります。仏教では、餓鬼道に落ちた母親を救う、お釈迦さまのお弟子、木蓮尊者(もくれんそんじゃ)のお話などがあり、文字どおり、仏教の根本が問われる季節です。


 日蓮大聖人も、一番大切なのは「人の命」とおっしゃっていますが、「まあ、お盆だから」というので親戚が集まったり、なんとなく、「ご先祖を拝んだり」しないと、さまにならない季節と考えている方も相当おられるでしょう。


 でも、実は多くの方々が思っている以上に、お盆は「自分の命」を考える大切な季節なのです。そして、数字の識別能力ではチンパンジーに劣る(京都大学霊長類研究所)人間が、チンパンジーが決してできない、そこに見えないものや、ことを考えるという、人間だけができる能力を100パーセント発揮すべき季節なのです。


 東京大学医学部救命センターの矢作直樹教授がご自分の著書で書いているように、「人は死なない」というショッキングな問題提起は置くとして、同じく矢作教授がついに出版した「死後の世界はある」という問題提起について、「ばかばかしい」と言い切れる人はいないでしょう。私も愛する猫「あやめ」が死んだとき、初めて実感として「あっちで、また会おう」と思えました。


 皆さんも、様々な方々と、「あっちで」また会う心の準備をする上でも、今年のお盆を大切にしてください。あなたの命も決して「死んだら終わり」ではないのです。もし、あなたがそう思ったとしたら、あなたはその瞬間から人間ではなくなるのです。


 お釈迦さまの教えである、「妙法蓮華経」によると、人の魂は天空数億キロを自在に飛び、宇宙空間を超えて、様々な世界に旅することができるのだそうです。日蓮大聖人は「霊山往詣」と言われました。


 つまり、私たちの魂は人間の世界と仏さまの世界を自由に行き来するということのようです。そういえば、お坊さんに授けられる「戒名」とか「法号」という、仏さまの弟子としての名前はこの広大な宇宙空間を旅して「お釈迦様と同じような仏様となる」パスポート番号のようなもので、昔は限られた人にしか与えられなかったものだそうです。大切にしたいものですね。

2014年 8月