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 4月はとてもあわただしい月です。と言うのも、庭に2本の桜があるからです。
元々は両親が結婚したときに植えた5本の苗木が、小さなお堂を造るから、と言っては2本切り、本堂再建の工事で大型トラックが入るからと、一本切り、残ったのは2本だけなのですが、70年以上経った古木は幹も直径で80センチ以上となり、枝は左右に重なり合って20メートル以上の大きな傘を形成しております。

 ご近所の人々にとって、寺の脇道を通るたびに満開の花の傘を眺めるのが年に一度の楽しみになっているようです。ともかく、3月末から様々な客人もお見えになり、中には本堂を開け放ち、文字通り咲きそろった桜を肴に美酒を平らげていった方々もおりました。また、いうまでもなく、4月8日はお釈迦様の誕生日で、様々な方々が小さなお釈迦様の銅像に甘茶を注ぎ、自分も飲み、一年の健康を祈りました。
この日ばかりは私も酒を断ち、経を読み、皆様の幸せと、この国の安泰を祈りました。


 と、まあ、ここまではフツーのお寺の坊さんが書くような文書でしょう。
残念ながら、先月も書きましたが、私のお経ぐらいで日本が安泰になるほど、甘いもんじゃあござんせん。でしょ?先日、テレビを見ていて驚きました。
岐阜だかに霊長類研究所ってのがあって、人間はどうやって進歩してきたのかということを、人間に近いチンパンジーなどを使って研究しているんですね。


 一般的に、人間は生まれて4~5歳までは数字やコミュニケーション力など様々な面でチンパンジーに及ばないということぐらいは知っていました。
皆さんだってそうでしょう。でも、驚きましたね。パソコンの画面に順番なしに10個の数字を示して、小さい順に指で指させると、結構チンパン君は人間と良い勝負をするのです。しかも、心の底から驚いたのは一瞬だけ数字を示し、消してしまってから順番を指させてもチンパン君は正確に10個の順を示すのです。
たった0.7秒示しただけでですよ。
「俺よりスゴイ」おれ、すなわち私は良いとこ2つか3つでした。


「こんなに頭がよいチンパン君がなぜ人間に勝てないのかなあ」

と思いました。それは、彼らは現在起こっていることしか考えられないのだ、ということだそうです。人間は目に見えないもの、遠くにあってそこにないもの、すでにこの世に存在しないもの、これから起こるであろうこと、そういうことを考えたり、活用したりできる力で他の動物をリードする社会を作ってきたのだ、と、チンパンジーの言葉でチンパンジーと会話できる某国立大学教授である先生は説明されていました。


「過去なんか考える必要ない。未来はどうでも良い。現在のみに生きよ」

 そう主張するエライ人たちがいます。つまり、私たちはチンパンジーのレベルまで後退して、それでいてチンパンジーほどの直感力、記憶力もなく、生きてゆこうというのでしょうか。私たちはそこまで自分をおとしめねばならないのでしょうか。寂しいですね。

2010年4月