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 最近、歌手の加藤登紀子さんが自分の人生を語るテレビ番組を見ました。
ご存知の方も多いと思いますが、加藤さんは獄中の全学連の闘志と結婚したというユニークな人生を歩んでいます。その後、ご主人は千葉の農地を手に入れ有機農業に人生をかけました。

 歌手としての加藤さんは常に夫のそばにはいられませんでしたが、お2人の間には3人の子供もでき、しっかりした愛情で結ばれた幸せな家族を作ったのです。


 ところが、「好事魔(こうずま)多(おお)し」の例えもありますが、50代であったご主人が病魔におかされ、家族全員が見守る中、息を引き取ってしまわれました。


 今、加藤さんは忙しい公演活動の合間をぬって農園を守っています。
加藤さんがしみじみと語ったのはご主人との現在の関係です。
「死んでしまったら、私たちの関係も終わりかと思っていたんです。でも、そうではありませんでした。 以前はその時その時で、部分的に主人は私の前にいました。でも、今はいつでも全面的に主人は私の前にいるんです」
そうですね、死ねばおしまいではないんですよ。


 宗教からはむしろ遠くにいるとも思える加藤さんにしてこの実感のこもった言葉。
「素晴らしい人生を生きているんだなあ」っと、心から嬉しくなり、改めてご活躍と
お幸せを祈りました。


  お彼岸(ひがん)というのは、仏教が広まっている地域でも日本独特の風習だそうです。一年を通じて四季を持ち、その中で人生を全うする私たちに、仏さまがくださった、大切な贈り物だと思います。
「暑さ寒さも彼岸まで」というように、彼岸は誰もが季節の移り変わりを知り、日々の生活の節目を自覚する時でもあり、日常生活にとっても大切な時です。


 しかし、実はそれ以上に大切な意味を持った時でもあります。
お経には私達が暮らす世界を「此岸(しがん)」といい、仏さまたちが暮らす世界を
「彼岸」と説明されています。そして、彼岸は此岸からとても遠くに離れているけれども、私たちが仏たちを供養しながら旅を続ければ、必ずたどりつける所だ、と説いています。 「供養」とは、仏たち、特に自分と縁ある仏たちを思い、心から尊び、その彼岸への旅を祈り、そして、自分自身の人生を祈ることです。

「あなたの進む路、見えてきますよ」


 猛暑が去ったと思ったら、彼岸はすぎました。庭には彼岸花が咲き、赤とんぼが飛んでいますが、もう、「お会式(えしき)」です。様々なことが、あわただしく起こって、この国は大きく揺らいでいますが、しっかりと仏さまの前で自分を見つめ、大宇宙の中で、大きな命の旅を確かめてください。

2010年10月