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 何はなくとも、年の始めは良いものです、と、最近まで実感しておりました。
今でもそう思いたい、と考えています。いや、考えようとしています。そうでなければあまりにも惨めになりますから。
 昨日も床屋へ行ったら、親父さんに言われたね。
「酷いもんすよ。こないだも、小学校3年生の子供が頭をやりに来たんだ。お母さんがついてきたよ。で、始めたら、驚くじゃあありませんか。自分が気に入らないことがあると、地団駄は踏む。床に転げて手足をばたつかせる。まるで、3歳の子供だったね」

「ウソでしょ。それじゃあまったく小学生レベルになっていないじゃない」

「そう思うでしょ。ところが、もっと驚いたのはそれを見ている母親が何も注意しないんだ」

「・・・・・」

 暮れに、カミさんが玄関から転がり込んできて、
「ネエねえ、大変、明治大学の黒川先生が学生を連れて見えたのよ」
「な、な、なに、黒川先生?黒川教授のことかよ」ってんで、ご挨拶しなけりゃあ、と、あわてて玄関を開けたところ、「きゃー、中島先生」「ホントだ」

 なんと、黒川教授が連れてきた10人以上の学生のうち3人が私の授業を取っている女学生ではありませんか。明治では別に僧侶であることを隠しているわけではなく、彼ら得意のグーグルかヤフーを開けば、「中島源吾」が何者であるかは直ぐに分かるのです。
それに、担当している講座が「国際コミュニケーション論」ということで授業で宗教のことは日本の社会が仏教をはじめ様々な宗教の影響を多重的に受けていること。 キリスト教はもとより、イスラム教とかヒンズー教について日本の社会がいかに無関心、無理解であるかを語っても自分の寺のPRまでは手が回らなかったのです。

 「学校にいるときよりダンディーだわ」とか、適当におだてられ、記念写真に収まってお引き取りいただいたが、皆良い子だ。
しかし、私は教室ではかなり厳しいことを言っている。

「君たちを見ていると、本当に気の毒になってしまう。私たちの時代はみんな仕事では頑張った。でも、経済も段々に良くなる、ということで、将来に対する不安はなかったのです。しかし、これから君たちがでてゆく社会はそうではない。この国は少しずつ沈んでいるのです。かつて一人あたりのGDPでは世界で2位とか3位だったのに、今では25位ぐらいまでズルズルと後退し、今後上向く要素があまりない。
にもかかわらず、君たちには危機感がまるで見られない・・・・」

 その日、世界がどうなって、就職戦線が急速に、日増しに厳しくなっているというのに新聞一面トップにどこそこの会社が倒産した。世界のソニーがついに正規社員まで対象としたリストラを明らかにしたと載っていても、あの子たちはそれを知らないのです。自分に直結する社会の変動を毎日インターネットをいじっていても知らないのです。新聞にもテレビのニュースにも関心を示さないらしいです。
ここまで、社会に無関心になるには教育も含め、一体どういう育てられ方をしてきたのだろうとうなってしまうのです。

 「ところで、君たち桂離宮って知ってるね」
百人ほどのクラスで、1人が手を挙げただけだった。
「姫路城は」5人ほどが手を挙げた。ため息がでたぞよ。

 みんな良い子だ。でも、心配だ。彼らこそ次のこの国の主人公、主権者なのよ。国民投票法が成立して、憲法も含め、福祉のあり方、年金のあり方も、この国の基本的なあり方はみんなこの子達が責任を持って決めてゆくことになるんですから。 

 あまりにも厳しい経済環境で、みんなの目は経済にばかり向くのは無理もないとは思いますよ。でも、遠回りなようでも、次の時代を考えるとき、やはり子供を大切にし、子供がこの国を背負って立てるように鍛えなけりゃこの国には「人間」と「水」という資源しかないんだからしっかりした人間を造れる教育から考えてゆくべきでしょうかね。皆さん、もう一度寺子屋からやる事になるのでしょうかね。

 「それも結構だけど、家庭の中心、夫婦関係が大変なんですけど」
ごもっとも次はその辺をしゃべらないといけませんかね。
なにやらコワイ顔してフスマの陰から見られているような気がします。またまた、コーフンして血圧が上がってしまったようです。今年の正月は、悪酔いしないようにお互い気を付けようではありませんか。
今年こそ、将来に希望が持てる年にしたいですよね。忘れないウチに・・・
お寺に遊びにおいで。心の洗濯ができますよ。

2009年1月