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うだるような猛暑は過去のもの。
「暑さ寒さも彼岸まで」はあっと過ぎ、10月も中盤。
「最近和尚のページ全然更新されないネ」と、きついご指摘を受け、「ちゃんと読んでくださる方がいるんだ」とナマケの虫を追っ払った次第。

 アメリカ発のとてつもない経済不況が世界を覆い、どなたも「これから自分はどうなるんだ」と
思うのは人情でしょう。
 そう、「自分だけ」を思う人はますます増えるでしょう。
「ちょっと悪いんだけど、他人のことまで気いつかっていらんねえんだ。
まして仏さんのことまでは考えられないネ」とね。「そういえば、このごろお寺にお参りする人が減ったかな」なんて心配する今日この頃でもあるのです・・・・。


 昔、お盆のお経でうかがったとき、
そこの奥さんから、「お坊さんがどんなうまいこといったって、あたしゃ信じないね。
だって、もし拝んで願いが叶うなら、お経を読んでもらったら、病気が治りますかね」と、きつい顔で言われた事がありました。
 「そりゃあそうだ。お坊さんも病気になると医者にかかるからね。
だけど、奥さん、心にしっかりした心棒があるのと、無いのでは同じ病気やケガでも治りが違うんだよ。

お医者さんによると、お医者さんがやる事は、あくまで、患者本人が病気と闘う力が
沸いてくるように手伝う事なんだそうだ。 同じ薬を与えても、本人次第で、直るきっかっけになったり、まったく効力を表さないこともあるんだそうだ。」

その奥さんはあまり納得しなかったようです。
でも、その「心の心棒」を作ることに仏さまが役に立つことがあるんです。
仏さまは「一人だけで幸せにはなれない。全ての人が幸せにならねば」と、教えています。
 これは、私たち人間の生活が、多くの人々の努力の上にあり、また、自分も他の多くの人の役に立っているんだ、てことを教えているんだね。

とはいうものの、「そーかなー。でも、俺には自分一人の事を考えるのが精一杯で、悪いけど人様のことまで気を使ってはいられないね」っていう人が多いのも事実でしょう。


 私自身の事を言えば、これまで実に数え切れないほどの体の故障を経験し、全身麻酔の手術3回、局部麻酔による手術2回も受けました。
でも、いずれも成功し、今日の私があります。


 中学では柔道のおかげか一日も休まず通学できましたが、大学生の時判明した重度の椎間板ヘルニアでは、ついに自分の右側の骨盤を削って、壊れてしまった椎間板を取り除いてそこをつないで固定、4か月間の入院を経験しました。
今では簡単になったヘルニアの手術も、当時は大変な手術と長期の療養を必要としたのです。
しかも、この間、、寝返りもできず、食事も上を向いたまま鏡を見ながら取るのです。
でも、多くの人々の献身と肉親の愛情に対して心の底からの感謝を学び当時としては
短かくて済んだのです。
半年はざらで、8か月かかった例もあった時代のことでした。

 極め付きは今から4年前のことでしょう。
偶然受けた脳ドックで脳腫瘍を発見されたのですが、その2週間後には慶應の名医による開頭手術を
受けることができ、術後10日で退院、一月後にはバンコックに出張もできたのです。

幾重にも重なった幸運に恵まれました。発見されたドックが慶應のネットで、そこから自動的に
慶應病院の脳腫瘍の専門医の診察を予約してもらえ、あっという間にその先生に診察していただけ、
「中島さんどこに住んでるの。大磯。もし、急ぐのなら、週一度藤沢の脳神経外科に行っているから、
そこで手術してあげよう」ということで、慶應の病院なら半年後になった手術をたった1週間後には
済ませることができました。

 手術室担当の看護婦さんによると、「あの先生ゴッドハンドの持ち主なの。
普通の先生なら使う顕微鏡も使わないし、普通なら3時間かかるところを1時間。
手際も良いの。中島さんも輸血なしで終わったのよ」とのこと。

先生ご自身の弁によると、「腫瘍ができたところが頭蓋骨のすぐ内側だったので、完全な除去が短時間で終わった。
神経中枢が変形するほど圧迫されていたので、若干のシビレは相当期間残るかもしれないが、運動中枢まで達していなかったので動く方は大丈夫でしょう」とのこと。

同じ脳腫瘍でもできた部位によっては完全に除去できない場合もかなりあるらしいですね。
この間、特別なお礼を払うタイミングも失して、年一回の検診も丁寧にやっていただき、
こうして今日があるのです。


 ところで、昨日は本当に驚かされ、その後感動いたしました。奇跡というのは起こるものなんですね。

 延台寺恒例の「おえしき」が今年は10月12日に終わったばかりなのに、その翌日の13日、
夕方になって檀家の奥さんが青い顔をして尋ねてきたのです。
なんと、信仰心が厚く、12日も大活躍したばかりの総代さんが近所の交差点で違法に曲がってきた車に
6メートルもはねられた、というではありませんか。
辺り一帯はパトカーや消防車で封鎖され、ご本人は酸素吸入を受けながら救急車で 大病院に
搬送された、ということでした。
思わず「エッ、そんな馬鹿な」と叫んでしまったのです。「あんなに信仰心が厚い人が・・・」とね。
「どうか、助かってほしい。できれば、少しでも軽いケガで済んでほしいと祈り続けました。

ところが、です。夜の10時過ぎ、念のため自宅に電話してみると、事故が起こったとき並んで
歩いていたというお母さんが電話に出られ、何と「お医者様が6メートルも飛ばされたのに奇跡だ、
とおっしゃっておられました。
また、私は全く車にも触れませんでした。お騒がせいたしました」との御返事。
緊張していた私は思わず「良かった」。

でも、にわかに信じられなかったので「意識は正常にあるのですか」と、聞き返してしまいました。
なんでも、跳ねられた瞬間、背中に背負っていた小さなリュックがちょうど頭の下に入って
枕のようになり、道路にたたきつけられたショックから頭を守ったのだそうです。

また、周囲に良く知っている人たちがいて、すぐに救急車や警察に連絡してくれ迅速な対応が
計られたとのことでした。
肝心な精密検査の結果ですが、」大脳に異常は発見されず、おまけに手足や背骨の骨折もなく、
内臓にも異常はなかったとのことでした。

自分の一生は自分だけのものではないのかも、と思えませんか。

ではまた。

2008年10月